皆さんは印鑑ってどんな風に作られるのかご存知でしょうか?
「当店は手彫りです」って良く聞きますね。
当サイトも、もちろん手彫りを行っています。
しかし、昨今のハイテク技術の進歩でパソコンを使った彫刻機が多く使われる様になりました。
私の推測では現在全国で作られている印鑑のうち、 およそ80〜90%が何らかの形で機械が使われていると思われます。

実は、何と当店も88年の歴史を持ちながら数年前から彫刻工程の一部を機械に任せています。
え〜!機械使ってるんだ!
それこそ手抜きだ!
なんておっしゃらずに、とりあえずご説明いたしましょう。

印鑑の彫刻工程について大まかにご説明しますと一般的に次の3つの工程で印鑑は出来上がります。
字入れ(じいれ)→粗彫り(あらぼり)→仕上げ(しあげ)
<字入れ>とは文字を描く作業を言います。
<粗彫り>とは呼び名のごとく大まか彫り込みを行う作業です。
<仕上げ>とは粗彫りで大まかに彫り上がった文字を完成させる作業です。

ここで注目して頂きたいのは<字入れ><粗彫り>は品質にこだわらなければ 機械任せで出来てしまうために手作業でしか行えないのは<仕上げ>だけという事です。

ですから一般に出回る安価な商品は<仕上げ>は行われず<字入れ><粗彫り>を全く手作業を加える事なく進められ、 そのまま販売されていることが多いのです。
正直、これでは「職人さんの技術や味」を全く含まない寂しい印鑑になってしまいます。
それと同時に、同じ様な印鑑が簡単に出来てしまう事実も見過ごせません。

当店では先代より100%手彫りを行って参りましたが、試行錯誤の末に18年程前から一部機械を使い始めました。
これは<字入れ><仕上げ>については従来通りの手作業のままで行い、 <粗彫り>の工程を「下彫り」「本彫り」の2段階に分け、 「下彫り」で機械により大まかな彫り込みをさせた後、 「本彫り」で従来通りの印刀を使った手作業で粗彫りを完成させる方法です。

この方法により従来の100%手彫りに比べ彫刻に掛かる時間を2〜3割軽減することが出来るようになり、 印影に最も重要な影響を及ぼす仕上げの工程に従来以上にじっくりと時間をかけることが可能となりました。 これによって、緻密で理想的な仕上がりをより安定的に実現出来るようになったのです。
もちろん同じ印影の印鑑を作られてしまうリスクに対するセキュリティも大幅にアップしています。

皆さんが今お使いのスマホやタブレット同様に「機械は使い方次第」だとつくづく思います。


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